大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和32(オ)849 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人弁護士工藤鉄太郎の上告理由は別紙のとおりである。

上告理由第一点の(1)について。

論旨は、原審甲第一号証及び同第二号証の二票の効力に関する原判決の判断を非

難するのであるが、原判決説明のように右二票は訴外Dに投票する意思をもつて記

載されたものとも認められるのであつて、原判決に所論のように公職選挙法六七条、

六八条の解釈適用を誤つた違法はない。論旨は理由がない。

同第一の(2)について。

論旨は「E(編注:上告人と同じ姓)やす」と記載された投票を上告人に対する

有効投票である旨を主張するのである。しかし、「やす」は上告人の名「武」の誤

記とは到底認められないのみならず、本件選挙と同時に行われた大和町教育委員会

委員選挙の候補者にEやすがある以上、同人を本件選挙の候補者と誤認して同人を

選挙する意思をもつて右の投票を記載したものと推認するを相当とすべく、上告人

に対する有効投票と認めることはできない。論旨は採用することができない。

同第二点について。

論旨は上告人は原審で公職選挙法二〇九条の職権発動を求めたにかかわらず原審

が選挙無効を主張するものと誤解して判決をした旨を主張するのである。

しかし、上告人が本訴で、上告人の当選無効を是認した被上告人の訴願裁決の取

消を求めていることは記録上明かであつて、実質上は、上告人は本訴で自己が当選

人である旨を主張するに帰する。当選の効力に関する主張は、選挙が有効であるこ

とを前提としているのであつて、所論職権発動を求めるのは、上告人の本来の主張

- 1 -

と矛盾するものといわなければならない。職権発動を求めるというも、結局は選挙

無効を主張しているのであつて、原審が上告人の右の主張を採用しなかつたのは当

然である。論旨は理由がない。

以上説明のように本件上告は理由がないから棄却することとし、民訴四〇一条、

九五条、八九条に従い、裁判官一致の意見で主文のとおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 池 田 克

裁判官 奥 野 健 一

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!